テカポ湖にてマオリ天文学と宇宙の神秘に触れる(モニターツアー記録)

前回(クライストチャーチ→ジェラルディン)からの続きです。

青緑色に輝く「テカポ湖」

ジェラルディンを後にして向かったのはテカポ湖。
南島のちょうどおへその部分に位置する湖です。

クライストチャーチ方面からテカポに車で向かう場合、Burkes pass(ブーケス峠)を越えて、坂道を下りながら走っていると、前方に青緑色に輝くプカキ湖が見えてきます。

乾いた大地の中に突如現れるその湖はまるで宝石のようで、うっとり♡
車内からも「わぁ~、キレイ~!」という声が上がっていました(^^)

テカポの町に入ってからは、吸い寄せられるかのように湖畔へ。そのままランチタイムと相成りました。

外で食べるランチって最高においしいよね~!!

ランチは、朝にクライストチャーチで評判のベーカリーで買ったサンドイッチ。めちゃくちゃ美味しかった!

バウンダリー犬 の像

” テカポ湖畔の教会のすぐそばにバウンダリー犬の像が立っています。これは開拓時代に柵のない境界線(バウンダリー)を守って活躍した牧羊犬の功績を称え、1968年に作られたもの。バウンダリー犬の像の銘板に、牧羊犬への感謝の言葉が刻まれています。 ”
ニュージーランドの歩き方より引用)

このわんちゃんの像の近くでランチし、湖畔をバックに写真撮影もしました。気持ちよかったなぁ~。

Dark sky project

次に向かったのはテカポの中心地にあるDark Sky Projectという施設。

入り口にREHUA (マオリ神話に出てくる偉大な神様の名前 )と書いてありました。
マナ・フェヌア/地元のマオリリーダーであるアロフェヌアとワイハオ、
モエラキ・ルナンガ(部族グループ)が洗礼を行い、REHUA「レフア」と名付けたそうです。

マオリの人達は建物に神様や祖先の名前を付けることで、
その名前の力が建物に宿ると考えているそうです。

こちらダークスカイプロジェクトは、以前 Earth & Sky社としてテカポで星空観測ツアーを開催していた 小澤英之さん と、ナイ・タフ・ツーリズムと共同創設者のテカポ住民のグラエム・マレーさんによる共同企業だそうで、 2019年の7月にオープンしたばかり。

テカポ湖の横にあるマウントジョン天文台に行って、実際に望遠鏡から星を見たり、テカポの最上級の美しさの星空を堪能できる星空ツアーを行っています。

日本語での説明ツアーもあるのが嬉しいです。日本語ツアー開催の時間に合わせて予約することができます。
参考サイト https://www.darkskyproject.co.nz/ja/

余談ですが、以前私がテカポで星空ツアーに参加したのは2003年の事。当時はまだ Earth & Sky社 の更に前の会社名だった記憶がありますが、日本の友人が遊びに来てくれた時に一緒に参加し、偶然にもオーロラを見ることができて大興奮した場所でもあります。(ニュージーランドでもオーロラって見れるなんて知らなかったからびっくりしました)

その時の写真です。
ちょっと自慢げに載せてみました(笑)

過去記事「唯一無二の一枚」より

世界でもトップレベルの星空保護区に指定されているテカポ

テカポは、青緑色の湖がきれいな場所としても有名ですが、じつはめちゃめちゃ星空がきれいに見える場所としても有名で、 このテカポは Aoraki Mackenzie International Dark Sky Reserve(アオラキマッケンジー星空保護区) の一部に位置しています。

星空保護区というのは、 国際ダークスカイ協会( International Dark Sky Association )が2001年に始めた 星空保護区認定制度( 光害の影響のない、暗く美しい夜空を保護・保存するための優れた取り組みを称える制度 )によって認められた地域のことで、世界に131か所あるそう。 ( 2020年1月16日時点)

参考にしたサイトリンク
国際ダークスカイ協会 東京支部 (IDA東京)
星空保護区®認定制度

世界の星空保護区マップは
↓こちらのサイトを参考にしてみてくださいね。
Find a Dark Sky Place | IDA

アオラキマッケンジー星空保護区にはテカポの他にもアオラキマウントクック国立公園とビレッジ、トワイゼルが含まれ、その面積は4367km2となっています。

↑この図はastro artsのサイト( https://www.astroarts.co.jp/ )に 小澤英之さん が投稿されていたニュース「世界一の星空を護りたい NZテカポからの報告」から引用させていただいています。図の紫の部分が アオラキマッケンジー星空保護区です。

Dark sky projectの施設の中にあった案内板(下の写真) によると、この 2012年に認定された テカポを含むアオラキマッケンジー星空保護区 は 、世界でも最大の面積を誇り、また世界で最初にGold Tier(金賞レベル)にランク付けされた場所との事。

Dark sky projectの施設の中にあった案内板

ちなみに上記リンクの 星空保護区マップ で調べてみたところ、この金賞Gold tierに認定されている星空保護区は現時点で世界に4か所のみ。

・アオラキマッケンジー自然保護区(ニュージーランド)2012年制定
・ミナブランド自然保護区(ナミビア) 2012年制定
・ケリー星空保護区(アイルランド) 2014年制定
・アイダホ星空保護区(米国) 2017年制定

なるほど、こうしてみると、ニュージーランドのテカポの星空は世界で一番きれいだといわれているのがよくわかります。

テカポの星空はなぜこんなにもきれいに見えるのか

実際、なんでそんなにきれいに星空が見えるのかというと、晴天率が良く空気が澄みわたっているからだそう。標高も700mありますからね。更に空気が澄み切ってる感じがします。

他にも、高い山に囲まれていないので、水平線近くまでよく空を見渡せるというのも理由かなと個人的に感じています。

もちろんこうしてきれいな星空を見ることができているのは、この価値観をしっかりとわかっている多くの人々によって光害に対する取り組みがなされてきているからこそ。

その根底には一人でも多くの人にこのきれいな星空を見て楽しんで欲しい、宇宙との繋がりを感じてほしい、そんな愛があるからこそこうして大きなプロジェクトとなり今に至るのではと感じています。ありがたいですね。

マオリ天文学を学びながら宇宙と星空の神秘を体験できるツアーに参加してみた

さてこの新しい施設では、夜の星観測だけでなく、なんと屋内でも(昼間に)宇宙と星空の神秘に浸れる「ダークスカイ・エクスペリエンス 」という、今まではなかったインドアタイプのツアー(45分)もできたとの事で、日本語のツアーに参加してみました。

今回の参加者は私たち5人のみの貸し切り状態だったので、お得感たっぷりでした♫

とっても素敵な日本人ガイドのあきよしさんが丁寧に案内してくださいました。

最初の小さな部屋で、まずあきよしさんは、マオリ語で「カラキア」(お祈り)の言葉を聞かせてくれました。(「天なる父ラキヌイと母なる大地パパツアヌクに感謝し、健康な状態で旅立ち、健康な状態で旅から戻る」といった内容だったと思います。)

さあ、いよいよジャーニーの始まりです♪

迫力の巨大スクリーンで不思議な感覚に

そして次に入ったのは大きなスクリーンのある暗い部屋。
(こちらの部屋は撮影禁止となっています)

床に置かれた真っ赤なビーンバッグに埋もれながら、ゆったりと大画面スクリーンに映し出される星々の映像を満喫しました。

内容は、この建物の名前にもなっているレフア(天空の主と呼ばれる最も偉大な神様の一人)の末っ子ちゃんである「ヒワちゃん」(という神様)が、ビッグバンの様子や、 彼女たちの住む家である天空についてや、家族たちについて語ってくれているというもので、まるで宇宙にいるような不思議な感覚になります。

個人的には、 ヒワちゃんがビッグバンの様子を語った後に、

「だから、私たち全ては同じ源からなる一つの大きな家族なんだよ」

(というマオリの人々の信念)を語っている部分で、じーーーんと胸が熱くなりました♡ こういうの好きだなぁ~(*´ω`)

そのあと、あきよしさんによるマオリ星座の説明を聞きました。

星座って、ギリシャ神話由来のものしか知らなかったので、マオリ神話に興味のある私にとっては、マオリ神話の星座の事を知れたのはとっても嬉しかったです。

例えば、南十字星の名前Mahutoka(マフトカ)というそうですが、これは、地上に住む神様でありレフアの弟であるTāne(タネ)が天空のレフアに会いに行くときに乗ったカヌー(の星座)から天の川に下した錨(いかり)の事なのだそうです。

天の川に浮かぶカヌーの姿~なんだかロマンチックですよね。

その日の夜、星を眺める時は、さっそくその姿を思い 浮かべてみようと思いました。(*^^*)

星の振動を感じる

次に移動したのは核融合反応によって自ら光を発する(太陽を含む) 大小の恒星が4つ浮かぶ広間。(ここは撮影OKです)

ここでは、星の内部で発生する振動や音を、触ったり聞いたりして体感することができました。

星の年齢や大きさ、密度によって、 音の深みやピッチが違って、生命体の心臓の音を聞いている感が半端なかったです。(心音よりももしかしたら血流の音にも近いかな?)

テカポ湖横にあるマウントジョーン天文台では今現在、星震学( 星の振動を集め、恒星の内部構造を研究する科学) が研究されているそうで、これは実際にここで集積されたデータとの事。

星震学は比較的新しい学問で、星の内部では何が起こってるかを解明するためにもとても注目されている学問だそうですよ。

これは年を取った状態の恒星で「赤色巨星」と呼ばれるもの。若い時に比べて体積が大きくなり、密度が低い。いつかは太陽も大きく膨れ上がり消滅するけど、まだまだ50億年先の事だそう。

他にも誕生したばかりの密度の濃い(青っぽい)ビーだまくらいの小さな星のピッチを聞かせてもらいましたが、耳がきーーーんとなりました。若いってエネルギーがあるんだな(笑)

スマホの役割をした星座?!

最後に訪れた部屋 (撮影不可の部屋です) では、昔のマオリの人々が星空を湖面に映して観察していたのと同じような体験をすることができました。

テクノロジーって凄いな~(≧▽≦)
これは、子供達にも楽しめそうなアトラクションでしたよ。

ガイドのあきよしさんが、「星座を利用して その年の食物の収獲や天候を予測したりしていた具体的な例」を話してくださった中で、草食動物のネズミ(キオレ)の星座が当時ではスマホの役割をしていたのかも。というくだりがあり興味深かったです。(でも、どう使ったのかの詳細は忘れてしまった~(;・∀・))

ここでは、昔のマオリの人々と夜空との繋がりについて思いをはせながら伝統的なマオリ天文学が生活の中でどのように使われ、どのような役割を果たしたかを理解することができ、貴重な体験となりました。

天文学愛好家にはたまらないであろうレアもの「ブラシャー望遠鏡」

最後に訪れたのは Brashear Telescope(ブラシャー天文望遠鏡)の展示されている部屋。

実際にハンドルを回させてもらえました。
思ったよりも軽く回った~。

ブラシャー望遠鏡

ブラシャー望遠鏡は1800年代後半にアメリカの天文学者パーシヴァル・ロウェル氏が火星研究の目的で使用していました。高さ最大9メートルで18インチの反射鏡があり、銅と鉄、スチール、木を使った美しい装飾が見事です。

1960年代にペンシルバニア大学によってカンタベリー大学に寄贈され、カンタベリー大学のマウント・ジョン天文台に設置されました。ところが残念なことに、当時は望遠鏡を設置するのにふさわしいドームの建設費用を捻出できなかったため、保管されることになったのでした。そしてついに2016年、カンタベリー大学がトゥモローズ・スカイ・チャリタブル・トラストに寄付した際、念願だった補修の夢が可能になったのです。”

↑こちらは100%Pure New Zealandのサイトより引用させていただきました。

この望遠鏡は、天文学や歴史愛好家によると、19世紀の技術って凄いな~!と思わせるような逸品なのだそうですよ(*^^*)

私は日本にいる時は、超高価な顕微鏡を扱うような仕事をしていたので、ファインダー越しに別世界をみるのは大好き。

今はまだ準備中なので今回は無理でしたが、今度の冬辺りから実際にツアーの中で、この貴重な望遠鏡も覗けるように計画中だそうなので、楽しみです!

破損されることなく、修復されるまでしっかりと綺麗な状態で保管されていて何よりです。

いやはや、見ごたえ満点のツアーでした!(≧▽≦)

星や天文学に関する知識と情熱に溢れるガイドのあきよしさんには、質問にも丁寧にお答え頂き、感謝感謝でした。日本語でこれだけマニアックなお話を聞けるのは、本当に貴重です!

森羅万象、神仏との繋がりを大切にし、自然の中に神々を見るという点で、 マオリ文化と日本の文化には通ずる点が沢山ありますが、

今回フォトツアーにご参加下さった皆さまとは元々、(マオリ族の中のひとつの部族である)ワイタハ族のご縁を通して繋がることのできた仲なので、私を含め、皆さんにとっても、 マオリ天文学を通して星空との繋がりを感ずることのできるこのツアーは、ツボ押されまくりの素晴らしい内容でした。

星好きならもちろんの事、ニュージーランドの母なる大地パパツアヌクに抱かれながら雄大な父なる天空ラキヌイを感じてみたい方に、是非ともおススメのスポットです。

建物にはギフトショップとレストランが併設されており、大きな窓から一望できる湖の景色もなかなかですよ!

今度は他のツアーにも参加してみたいな♪

ではでは次回はミルキーブルーの色がミラクルなプカキ湖と、その晩の星空撮影大会について書きたいと思います♪お楽しみに!

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